Typo233.bmp (366092 バイト)(旧暦七月七日、1999年は太陽暦八月十七日)


 昔、二条の后にお仕えする男がいた。
 女で同じ御方にお仕えする人を、いつも見つめ合って、ずっと求婚していた。
 「なんとかして几帳越しに対面して何となく思い詰めていたことを少し晴らしたい」
 と男が言ったので、女はすごくこっそり(二人きりで)几帳越しに会った。
 とりとめのない話などして、男が歌を詠んだ。
   彦星よりも 恋したう気持ちは勝ってしまった 
   天の川よ へだてている堰を 今はやめてしまってよ
   (七夕の一年に一度しか織り姫に逢えない彦星の恋い慕う気持ちより
    燃え上がってしまった。だから今、隔ての几帳をやめて直接逢ってよ)
 この歌がよくて、女は逢ったのだった。

  
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