物語って? 日記と物語 絵解き 「狩の使」本と一代記
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絵解き
物語は物語りますが、絵については絵語りとは言わず、絵解き(えとき)といいます。
平安時代には、有名な国宝・源氏物語絵巻(いわゆる隆能源氏)の「東屋」巻で、
浮舟が絵の冊子を見て、横で右近が詞書を読んでいる場面があるように、
姫は絵を見て、侍女が物語を読みあげたりしました。
今でも、寺社で縁起を絵解きしたりすることもあるようですね。
絵を見せて、解説するお坊さんの、その名調子もおもしろいものです。
そんなふうに、昔からとってもビジュアル化がすすんでいて、絵解きがなされていました。
というのも、絵はちょっと見ただけでは、映画と一緒で、
細かいところまでは解説がないとわからないこともありますし、
たとえば、外国の絵ですが、『官女たち(ラス・メニーナス)』の鏡に映っているのが国王夫妻だというのとか、
日本でも、「洛外洛中図屏風」で、これが三十三間堂ですとか、昔は京都にも大仏があったんですとか、これが鴨川ですとか、
解説があれば、ああなるほどねえということになります。
実は、このサイト伊勢物語についても、現役高校生では少し難しいと言われたこともあり、
絵を付けようと思ったことがあったのですが、
なにしろ雅やかな作品だけに、むずかしくて、昔の人がいかに苦労して絵を付けたかに思い至りました。
インターネットでは、どちらかというと、水彩画っぽい作品よりは、アニメチックなほうがきれいではっきり見えます。
もちろん、昔の芸術作品の風雅さには負けます。
ただ、わかりやすさと言う点ではアニメのほうがわかりやすく、
解釈を絵に頼るならば、単純化したアニメのほうがいいのですが、
陰影礼賛するわけじゃないけれど、
アニメではよほどうまくないと風情がでにくいので、悩み深いですね。
物語談義(伊勢物語 2007年10月16日作成 内田 美由紀)