物語って? 日記と物語 絵解き 「狩の使」本と一代記
竹取物語について 源氏物語について 住吉物語について 大鏡について 栄華物語について
物語というと、例えば「昔々ある所に」なんて日本昔話みたいな出だしを思い出すのですが、
第2次ベビーブームが去って、子供向け絵本が売れなくなり、絵本出版業界が衰退した
と新聞で話題になったのが平成に入った頃でしたか。その約十数年後のごく平均的な高校生は、
( ご家庭が教育熱心で幼いころから絵本に囲まれていたという人は別ですが )
日本の昔話をあまり知らないのです。嗚呼、TVの『まんが日本昔話』よ、カムバーック!!!
それが放映されて知っている世代のほうが、「物語」は説明しやすかったのでした。
「桃太郎」は知っているよね?
(生徒A:桃から生まれた・・・。 生徒B:鬼退治に行くのに動物を黍団子で釣って連れてった。生徒A:え、そうだっけ?)
じゃあ「舌きり雀」は?
(生徒C:大きいつづらと小さいつづらをね・・・。生徒D:え?つづらって何?)
「瘤取りじいさん」は?
(生徒口々に:何それ?)
「鉢かづき姫」は?
(皆口をそろえて:そんなん知らん。)
で、「竹取物語」は?と持っていくと、これが「源氏」や「平家」とごっちゃになっていたりして、
まあ、それは高校で教えるからいいんですけれどもね。
昔話と、物語の共通点は、「昔」に実際あったこととして語られるのですが、
鬼が出てきたり、雀のお宿があったり、ここ掘れワンワンと犬が宝のありかを教えたり、
ちょっとそんなことあるわけないでしょ、と思いたくなる
メルヘンチックで夢のある雰囲気が昔話には漂っています。
物語は、実際にありそうな話もあるので、本当にあったことと誤解してしまう人も多いようで、
そのへんが映画やTVドラマや小説とよく似ています。
もちろん、昔話も物語も、架空の話とはいえ、何かモデルになる人物がいたりするので、
物語るときにちょっと脚色するのか、最初から全くフィクションなのか、微妙なのですが、
光る源氏に紫式部が物語論を語らせているのによれば(源氏物語の蛍巻)、
物語の場合は、最初から全部嘘という前提の中で、真実(なんらかの人間にとっての誠)を書くというのが
書き手の立場からの話のようです。